耳かき

さて、みなさん突然ですが耳かきはご自分でされますか。

私はというと、恥ずかしながら最近は妻にしてもらっています。

っと恥ずかしいのがクッキーモンスターの顔が付いた耳かきを使用しています。

これを聞いて、「新婚さんでラブラブでいいですね」とか「うわー甘えてるやん、キモ」

とか思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さんちょっと待って下さい。
目とか鼻はゴミが入っても見えるからいいですよ。耳は自分では見えないんですよ。
自分で闇雲に耳の中を探って傷つける可能性があるなら、ましてや自分のパートナーがそこにいるのなら

お願いして耳の中を掃除してもらう、これが合理的な判断ではないでしょうか。

では、耳かきの一連の流れを説明させていただきます。
まずは明るい場所で相手の膝の上に右耳を乗せ、相手とは垂直に寝転がります(左耳から診察してもらいます)。

次にティッシュを一枚、自分の視線の延長線上(ここがポイント)にセットします。あとはティッシュに積み重なっていくゴミを見つめながら満足感を満たすだけです。
その中で、たまに耳かきが奥に入りすぎたり、ゴミが取れないのか何度もコスコスされ痛い思いをした後、

ティッシュに打ち上げられたゴミがはるかに小物だった場合は無言でカッと目を見開き相手に無言の圧力を与えます。


※ご飯中の方、不快に思われた方、汚い話をつらつらとしてしまい大変申し訳ございませんでした。

 

ふとある時、気持ちよく耳かきをされている途中で重大なことが頭に思い浮かび、

一瞬ではありますが不安な気持ちが襲いかかってきました。

「もし今、耳かきの棒を奥にぶっ刺されたらひとたまりもない。鼓膜も突き破って耳が聞こえなくなるかもしれない。」
「そして何より、耳かきは突然に攻撃されることしかありえない。

「つまりこうだ。
テレビで包丁や銃を突きつけられ『動くな。動いたらお前を刺す(撃つ)』というシーンがよくあるが、

その状況からは素人ではほとんど打開できないと分かっているからこそ、逃げないための脅しが成立する。

たとえ一瞬逃げられたとしても、追いかけられ急所をやられる可能性が大いにあるからだ。

しかし、耳かきの最中に『動くな。動いたらこのまま耳かきぶっ刺すぞ』と脅されても最悪隙をみて一瞬で引っこ抜けば、再度小さい耳の穴に入れられる確率は極めて低い。

だからといって耳かきで別の体の部位を攻撃されてもかすり傷で、急所は耳の穴、あとせいぜい目の中しかない。」



------- 要するに、本気で耳かきで攻撃しようと思うときは事前予告はしない!!!-------


そう一瞬で結論に至った瞬間少し震えました。







「妻はいつでも俺を殺れる」

 







しかし、その不安は一瞬で消え去りました。

妻とは付き合って10年が経ちます。この10年で幾度の困難な壁を2人で打ち破ってきたことでしょうか。

妻がそんな事をするはずがありません。そう、妻を無意識に信頼していたのです。

赤の他人に耳掃除をしてもらうのは結構リスクがあり怖いのではないでしょうか。

長年付き添った妻だからこそ、信頼し耳を預けていたのです。



そう考えると、社会において、仕事は信頼されているからこそ任されるのだと思います。

わざわざ一つ一つの仕事を、お前に任せるから頼んだ、信頼してるぞなんて大それたことはいちいち言わないでしょう。

どんなに小さな仕事でも、もし社員の1人が先方に失礼な態度で接し不快な印象を与えてしまえば、会社自体が悪いイメージを抱かれてしまいます。

はたまた不注意で個人情報を漏洩してしまえば、会社の信用は一気に失墜します。
そうならないために、一つ一つの仕事を丁寧にこなさないといけません。
 

そして、

「耳の痛いことを言われてもしっかりと受け止めて、どんな些細な事にも耳を傾けていこう」


と、私は膝上の右耳を左耳に入れ替えた。